雨降りの外出にふさわしい施設はないかと宮古島市のHPを見たところ、地下ダム資料館という公共施設を見たので行ってみた。
ずいぶん前に、宮古島出身の友人から「宮古島は山も川もないので慢性的な水不足だからキビ以外の農業はできなかったんだけど、いまは地下資源を利用するようになって環境が変わったんだ」と聞いて、気になっていたからだ。
資料館の中では10分ほどの解説ビデオ映像が放映されていて、展示物も珍しいものばかり。なんといってもこの島全体を使って地下ダムを作った技術力には驚きましたね。
そして、こうした建設技術もさることながら、日本が誇るのは「地質調査」の高い技術力ですね。高層ビルの基礎工事やトンネルなどを掘る際には巨大な採掘機械を使用しますが、その素材や強度を指定し作り上げるためには正確な地質調査結果が必要です。そうしたあらゆる技術の連帯に縁(えにし)を感じるものです。
宮古島で雨に見舞われたら、いや晴天であっても、ぜひこの施設に行ってみることをお勧めします。
宮古島市HP
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以下、資料から一部抜粋します。
地下ダム建設の経緯と資料館の概要
宮古島は年間雨量が約2200mm(3.6億トン)もありますが、その雨水の40%(1.4億トン)は地中を通って海に流れていきます。また海水が地下水と混じるので井戸の水質も決して綺麗ではなかったらしいです。
昭和46年(1971年)の大干ばつで農業は壊滅的な被害を受けました。それを契機に昭和49年から地下ダム調査が始まり、昭和54年3月に実験用として総貯水量70万トンの皆福(みなふく)ダムが完成しました。これにより、琉球石灰岩地帯の地下ダム建設技術が確定され、昭和62年(1987年)から国営宮古地区土地改良事業として着手されました。平成5年(1993年)に砂川(すながわ)地下ダム(総貯水量950万トン)が完成し、平成12年(2000年)に福里(ふくざと)地下ダム(総貯水量1100万トン)が完成し、宮古島は世界でも例のない大規模な地下ダムを保有する島になり、深刻な水不足から解放されました。
地下資源を利用するのではなく、作り上げたのです。
このような地下ダムを農業用水施設だけではなく、将来の先駆け的遺産として地下ダムの保全、地下水の水質保全、啓蒙、普及を図る施設として、「水の大切さ」「水源開発の困難さ」を認識させ、水との関わりを通して総合的に科学する施設として、地下ダム資料館が建設されました。
資料館の展示内容は、地下ダムの模型、宮古の水と自然、大型地下ダム建設技術、水の成分、石灰岩の謎、石灰岩と化石、手で地層に触れるコーナーなどがあります。
住所:宮古島市城辺字福里1645-8(地図)
電話番号:0980-77-7547
地下ダムの立地条件と宮古島
立地条件
- 必要な地下水を貯留できる空隙(くうげき)を持ち、貯留した地下水を効率よく採取できる、高透水性の地層(貯留層)があること。
- その地層の下と周囲に水を透しにくい地層(不透性基盤)が存在すること。
※宮古島は水を透しやすい琉球石灰岩(有効空隙率10%)と水を透しにくい島尻泥岩からできています。 - 利用料に見合う地下水の補給(降雨)があること。
※宮古島は年間雨量が約2200mmあります。
宮古島の農業生産物の割合
サトウキビ 40.5%
葉タバコ 21.7%
野菜 8.4%
果実 4.1%
イモ類 0.7%
花木 0.1%
肉用牛21.9%
その他畜産 2.1%
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